What's New

3月 岳南朝日新聞 母力コラム掲載されました

毎月第2に木曜日は、岳南朝日新聞の母力コラム「母に必要なチカラって何だろう」の掲載日です。
今月のタイトルは『母親だから』です。

 

【隣の家族は青く見える】
フジテレビ系列で毎週木曜10時から放送されている「隣の家族は青く見える」というドラマを知っていますか?とある夫婦が、なかなか子どもができず妊活に向き合っていく中で、近所に住む男性同士のカップルや子どもが欲しくないカップルなどとの交流を描くホームドラマです。妊活、つまり妊娠するためのあらゆる活動の様子がリアルで、多様な価値観を持つ人たちの様々な意見に焦点が当たるので、私は毎週楽しみに観ています。

【自然がいい?】
ドラマの中で人工授精にチャレンジをするか悩む場面がありました。妻は実母に打ち明け相談するとこんな言葉が返ってきました。「子どもは自然に任せるべき。人工授精なんてしてできた子どもが、将来学校でいじめられたらどうするの?やめておきなさい。」実母が心配する気持ちも分からなくはないのですが、私は心がザワザワしました。
妊娠・出産・子育ての中でもよくある問題でもあります。医学的根拠も関係なく、出産の時は自然分娩がよくて、帝王切開や無痛分娩はダメ。生まれてきたら、母乳がよくてミルクはダメ。社会の中にそのような価値観がなんとなくあって、それを押しつけてくる人がいる現実。一方、誰が押しつけてくるわけでもないのに、何となく社会の風潮を敏感に察知し、それを気にし過ぎてしまう母親たち。実は、私自身もそうだったなと思います。

【社会の空気】
このような社会の空気というのは、一体誰が作っているのでしょうか?そう感じている人が多いから?有名人が言ったから?本当はその価値観が羨ましいから?それらが混ざり合っているのでしょうか?
昔に比べたら随分と女性も楽に生きることができるようになった現代でも、母親に対する要求は更に多くなっている社会の風潮があると感じます。「母親なんだからきちんとしつけるべき。」「母親なんだから子どもの宿題を見る。」一見当たり前のことのようですが、母親だけがその役目を負う必要はないはず。その子を大切に思う大人であれば誰がしつけても、誰が宿題を見てもいいのではないでしょうか。核家族化が進み1家族の大人の数は減少し、夫婦共働き家庭が増えてきている今の日本の社会の中で、「母親だから」という価値観の押しつけは、厳しいと感じることが多いと母親たちは苦しんでいます。

【育児と介護】
更に近年出産の高齢化に伴い、両親の年齢も上昇したことで子育て期と両親の介護が重なるという話もよく聞きます。つい先日は小学生のお子さんが2人いるワーキングマザーの友人が「今年は地域の役員とPTA役員に同時になり、子どもの歯医者で仕上げ磨きをもっとちゃんとするようにお医者様に怒られ、数日後に父が倒れた。もう何がなんだかわからない。これから役目を果たせるのか不安だ。」と言っていました。

【見落とされがちな家事育児の細部】
家事育児というと、炊事洗濯掃除、子どもの送り迎えやオムツ替え、食事の準備などが頭に浮かびます。しかし生活の実態として実はもっと多くの細かく重要な役割も担う事があります。幼稚園保育園の行事の準備、園や学校のPTAなどの役員仕事、地域の班長などの仕事、子どもの病院の受診、ほぼ毎日出る宿題の丸つけや、提出書類の準備や園や学校で使われる備品の準備など子どもの人数が増えればそれだけ手間も役割も増えます。それを男性と同じように働きながら女性だけが当たり前にするというのは「母親だから」という言葉では済まされないものがありますし、一人親家庭では性別関係なく大変なことは言うまでもありません。

【枠組みは枠組みでしかない】
「母親だから」というのは枠組みに過ぎません。父親だから、女だから、男だから、妊婦だから、障害者だから、高齢者だから…枠組みは言い出せばキリがないほどあります。本来は、そんな枠組みにとらわれず、様々な選択をしてよいはず。その判断は自分が責任をもってする以上、誰かに責められたりしなくてよいもののはずです。妊娠も出産も、家事も育児も、介護も親子関係も家族によっていろいろな形があること、それぞれの家族が本当に必要なサポートも含めお互いに認め合え、支え合えたら、もっと暮らしやすい地域になっていくでしょう。そう、私は私なのです。

文責:小野麗佳