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母力

岳南朝日新聞2月掲載されました

2月は 金井あゆ美が

「分かってくれない」と悲しくなったら』をテーマに書きました。


以下より全文お読みいただけますので、ぜひ読んでみてください。


我が家は私が昼勤のフルタイム、夫が三交代のフルタイム勤務です。残業を伴うことも少なくありません。お互いに残業しなければならない時期を共有しながら、保育園の送迎の調整をしたり、子どもの体調不良時の対応を考えたりしています。互いの状況を共有する際に注意が必要なのは、「自分の都合だけ押しつけている」と相手に捉えられないように相手の話をよく聴いたり、自分が使う言葉に気をつけています。




【察してくれない 分かってくれない】


ただでさえ忙しく心身共に消耗する夫婦共働き生活を365日続けていると、パートナーに対して「どうして〇〇してくれないのだろう」「私だったら〇〇するのに」「私の気持ちを分かってくれない」「夫婦なのに、同じ親なのに、察してくれない!」という気持ちが生じることがあります。


そんな時は、大抵コミュニケーション不足になっていました。「私の気持ちを分かってくれない」時は、そもそも気持ちを伝えていない、気持ちを伝え合う時間を確保していないのかもしれません。「察してくれない」は、もはや相手が超能力者かなにかでなければ成立しません。


コミュニケーションをとり、こんなことが嬉しかった、悲しかった、腹立たしかった、面白かったと仕事や我が子のことを共有するだけでも「ああ、自分のパートナーはこんな時にこう考えるんだな、こう感じるんだな」と互いの理解が深まっていきます。パートナーの気持ちの推察しやすい状態になります。


また、体験だけでなく、「自分が大事にしたいこと」を仕事、子育てについて互いに話しておくと、相手が自分と違う方法をとっても「こういう想いでしているんだな」ということが分かると「どうして〇〇してくれないんだろう」と感じてもそんなに不安になったり、「私のことを分かってくれない」というような気持ちに発展することも防げます。




【伝えないと伝わらない】


以前は私自身が大事にしたいことはあまり伝えることはありませんでした。話し合う時間をなるべく短縮するために子育てに必要と自分が判断したことのみ伝えるスタイルでした。

しかし次第に、釣りに行って上手にリフレッシュする夫がうらやましく感じるようになりました。「私は自分の買い物さえ時間がなくて数年間我慢することがあるのに」「私だってたまには休日に自分一人だけで1時間だけでも良いから本をゆっくり読みたいのに」とモヤモヤすることが多くなってしまったのです。気持ちに余裕がなくなった時に爆発するように伝え、喧嘩になってしまったこともありました。その時に学び得たことは「我慢しても誰のためにもならない」「むしろ我慢して溜め込んだことを一度に伝えると相手も驚き、攻撃されたように感じてしまい話し合いにならない」「溜め込まずに自分の気持ちをこまめに伝える」ということでした。

それからは週末に2~3時間ほどカフェに一人で行かせてもらい本を好きなだけ読んだり、一緒に買い物に行った時も夫に娘たちを見てもらい好きなように買い物したりできるようになりました。私は誰に我慢を求められていたわけではなく、自分の理想の母親像を作り出し、勝手に我慢し、不満を募らせていただけだったのです。今は「できれば〇〇がしたい」「こうできたら嬉しい」ということを夫に伝えることを意識しています。




【対話時間の確保も現代夫婦に必要なスキル】


忙しい毎日の中で夫婦のコミュニケーションを図ることは至難の業です。前述したとおり夫が三交代なので一週間ほとんど会話がする時間がないこともあります。やること共有アプリ、LINEなどのツールを活用することもありますが、やはり直接言葉を交わすことに勝るものはありません。我が家は最近、おしゃべりが大好きな娘二人に「お父さんとお母さんばっかりお話ししてる!」と怒られてしまうこともあり、時間を確保してもゆっくり話すことが難しいこともあります。子どもたちの世話と自分の事で手一杯なのに、夫婦二人の会話の時間なんて確保できるわけない!という声が聞こえてきそうです。


ですが、周囲の力を借りて夫婦ミーティングしたり、二人でリフレッシュする時間を確保することも現代の夫婦には必要なスキルと思います。それほどに互いの価値観を擦り合わせておくことに価値を感じています。


価値観、すなわち自分が大切にしたいことを共有しておくと、子育てのやり方や優先順位にずれが生じても、お互いを理解しているので話し合いがしやすいように感じます。日本には以心伝心という言葉がありますが、何も言葉を交わさずにわかり合うことは不可能です。

思いやりをもって伝え合い、価値観を十分に摺り合わせる、自分の価値観が刷新されたときにはそれもきちんと伝えてからでないと以心伝心は成立しない、そんなふうに思っています。


文責 金井あゆ美


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